2008年02月04日

クライアントの潜在的要望を汲み取る力

デザインの依頼が来る場合、多くのクライアントはそのデザイナー(デザイン会社)の作風を知り、それを気に入った上で依頼をしてくるのがほとんどのケースだと思います。
クライアントの信頼を得てデザインを提供するわけですが、それでも案件毎に今回のプロジェクトではどういった形が効果的なのか考え、毎回提案を変えられるのが優秀なデザイナー、アートディレクターであります。良いデザインの答えはひとつでもありません。
そのために必要なのは、クライアントの要望を汲み取る力、さらにはクライアントが潜在的に持っているものまでをも引き出す力です。基本的にはクライアントの言葉からそのイメージを構築して行くのですが、クライアントの口から出てくる具体的な要望は、時にその目的のためには反対の効果をもたらすものであることもあります。プロフェッショナルである私たちデザイナーは、クライアントが本質的に要望している効果を実現するために、自らの経験からより的確な形を提案する必要があります。時に、クライアントのある具体的な要望に対し、クライアントの利益を考え「No」を言う事もあるのです。

クライアントの利益を実現するためのデザインは、いつもいつも簡単に答えを見つけられるというわけではありません。時には、自分の経験値からすぐにこのパターンと答えがでる場合もありますが、まずはクライアントと言葉を交わし、その言葉の向こうにある世界を感じ取るという事が必要です。
私の場合、面と向かって言葉を交わしていると、言葉を超えてその人のこころと波長が合い、その人の世界観が自分の中に入ってくるという感覚を覚える事が何度かあります。これができた時は、間違いなくクライアントに満足してもらえるいい仕事を提供できます。

posted by Sachiyo Inami at 00:07| Comment(0) | TrackBack(0) | デザインの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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