ピアニストの尾形さくらさんは、スタジオネオの初代スタッフの奥さんです。
息子が吹奏楽部に入った事をきっかけに、息子もクラシック音楽に関心が高まり、息子にもプロの演奏する本物のクラシック音楽に触れさせたいと、息子と二人ででかけてきました。
ピアノのデュオコンサートを聴くのは、私も初めて。
大きなグランドピアノ2台が、ステージに向かい合わせに置かれ、二人のピアニストがぴったりと息の合った演奏を奏でていく様子に、流れるような音楽とともに引き込まれていきました。
ヴァイオリンは、さくらさんの妹さんの真奈美さん。洗足学園音楽大学院を主席で卒業し、その後も数々の国際的な賞を数多く受賞された方です。
ヴァイオリンソロ1曲目、真由美さんがヴァイオリンを構え、最高の音を出すための瞬間を探っているかのように、ヴァイオリンを構え直しながら、第一音が出て来るまでの時間が流れました。
そして、美しいビブラートの響きがホールに響き渡り、その瞬間、私の足下から全身の皮膚を襲うように、寒気が私の体を抜けていきました。
すばらしい美しい音でした。
前半は、モーツァルトの 2台のピアノのためのソナタ。30分程度もある曲です。
そして、ヴァイオリンのソロは、バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティナータ。これも20分以上はあったでしょうか。
ピアノデュオとヴァイオリンソロ、それぞれを堪能した後に、休憩を挟み、後半の演奏へ。
後半は、ドビュッシー生誕150年に寄せて、フランス作曲家の作品を集めた構成でした。
「フォーレ 夢のあとに」と「ドビュッシー 美しき夕暮れ」は昔から私が大好きな曲で、生ですばらしい演奏を聴く事ができ、良かったです。
また、一番最後の曲は、ピアノデュオによる「ラヴェル ラ・ヴァルス」。
私は初めて耳にする曲でしたが、作曲家 本人の解説による「渦巻く雲の切れ目を通じて、ワルツを踊る男女がかすかに浮かび上がって来る」様子から、徐々に「大広間で回旋する人々でいっぱいになる」様子へ。
そして最後には「シャンデリアの光はフォルテシモで輝く」という流れ・・・・
この静かで混沌とした世界から、最後の光で満ちあふれた絶頂の世界までが、激しいピアノの音で再現され、こちらの気持ちまでもが高揚していきました。
それはまるで、音が絵画を描くように、その世界観を表現し、聴く側の心の中にその心象風景を届けているように思いました。
お陰で、とても貴重な1日を、息子とともに過ごすことができました。
そして、こんなに素晴らしい奥様をもらった元スタッフ、本当に幸せだなあと、とても嬉しい気持ちで、家路に向い車を走らせていました。
【開催概要】
2台ピアノ、ヴァイオリン デュオコンサート
会場:横浜市栄区民文化センター リリス
日時:2012.05.04 (fri) / 14:00 ~ (13:30開場)
出演:小形さくら、二見繭(Pf)、小形真奈美(Vn)
【プログラム】
モーツァルト:2台のピアノのためのソナタ KV.448
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番 ニ単調 BWV1004
〜休憩〜
ミヨー スカラムーシュより「ブラジレイラ」(ブラジルの女)
フォーレ(バッハマン編曲) 夢のあとに
フォーレ ドリー Op.56より
ドビュッシー(ハイフェッツ編曲)美しき夕暮れ
ラヴェル ラ・ヴァルス