地震発生時、三田の戸板短期大学で会議をしていましたが、これまでに体験した事がない程の強い揺れで、会議を中止しテレビをつけて、震源地の東北地方ではあれほど大変な状況になっていることを知りました。
テレビ報道の生中継で、上空からの海水が町を飲み込んでいく映像は、現実のものとは思えない目を疑うような光景で衝撃を受けました。
自然を前に、人間の作り出すもののちっぽけさも感じずにはいられない映像でした。
そして発生から1日が経過した今、これまではない災害の被害の大きさが明らかになってきました。
日本は大変な状況に直面しています。これだけの被害を復旧するには、大変な費用と労力を要するでしょうし、今後の経済への影響も心配です。
JIA日本建築家協会でも、災
害当日、対策本部(JIA災害対策情報掲示板)が設置されました。
これまでの震災へのJIAの動きも慌ただしくなるものと思います。
新潟の中越地震の時にJIAでも、JIA災害対策本部が設置され建築家の方々が視察、キャラバン隊を派遣や、第3次診断調査など、建築家の専門家としての任務を果たされている様子を伺ってきましたが、今回も大きな動きがあるものと思います。
発生時、三田の短大にいた私ですが、学内にいる学生への対応をということで、会議も途中で解散となってしまい、電車が動いていないということで、そのまま大学の非常勤講師室でテレビ報道をつけながら、様子をみていました。
スタジオネオにいる仙台出身のスタッフは、ちょうどこの日、仕事を終えてから新幹線で仙台へ向かう予定でした。このスタッフと、不在中のオフィスの様子も気になり、オフィスに電話しようとしたのですが、私の携帯はつながらず、携帯メールも送受信ができず、学内の公衆電話からオフィスに連絡を入れました。
仙台出身のスタッフが電話に出て、もちろんその日の仙台行きは当然無理になってしまったけれど、家族に電話がつながらないと話していました。
携帯メールは相変わらず繋がらないので、非常勤講師室のパソコンを使ってg-mailでメールをしていました。
仙台の津波のテレビ映像を見て、仙台出身のスタッフの家族のことが心配になり、メールを入れたら、「母と妹から『無事です』のメールを受け取りました」とのことでした。ひとまず安心はしたものの、家族との連絡など心配もあるだろうから、早く退社するようにメールをいれました。
そのまま私は、地下鉄を動くのをまっていましたが、18時過ぎになって今日中復旧は難しいかもしれないとのニュースを聞き、残りのスタッフにメールで連絡をとり、彼女らはそれぞれ友だちの家などに泊めてもらえることになったらしく、その友だちの家まで歩いて帰るため少し早めに退社しました。
私は、クラブで学校にいっている息子の事も気になっていましたが、学校から配信されるメールで、グランドで非難している様子、次にバスと徒歩で帰れる生徒は帰宅させ、電車通学の生徒は水とカンパンを出してもらった様子、などを知る事ができていました。
電車が動かないという報道を聞いて、学校に公衆電話から電話を入れ、夕食にカレーライスを出してもらった事、ホールで宿泊の用意があることを聞きました。
なんとか帰宅して迎えにいければ迎えにいくつもりがあることを話し電話を切り、帰る方法を検討。
google Mapのルート検索で、三田から車の置いてある二子玉川のオフィスまでのルートを検索。徒歩でこの距離を検索するなんて、もちろん初めて。
結果は、2時間48分。
歩けない事はないだろうと、20時前に戸板を出発。
iPhoneのGoogle Mapを使って現在地を確認しながらのルート検索は、とても便利。ヒールでの徒歩は心配で、途中、靴屋がないか探しながら行きましたが、残念ながら見つからずヒールのまま徒歩実行。
おにぎりか何かお腹の足しでもとコンビニに寄ったものの、こちらもほとんどの食料品が完売。仕方なく飲むヨーグルトとビスケットを買って、歩きながら食べました。
携帯の充電がなくならないよう、たまに地図を確認する程度でとどめながら、三田から麻布十番、広尾、恵比寿、中目黒を通ってようやく「世田谷区」の看板を目にして、気持ちが安堵。
それでも歩いて2時間は経過していたので、ふくらはぎの痛みも感じてきて、google Mapのルートでは、まだ全体の3/2にも届かない程度。
三軒茶屋付近の環七に出たところで、自転車屋さんを発見。お店の方に「自転車買えますか?」と声をかけたら
「あるけど安いのは全部出ちゃったんですよ。家はどこですか?」と質問をされ
「二子玉川です」と答えました。
「だったら代車を貸せるので、これを使って下さい。」買ってもいいのに、、、と戸惑う私に
「こんな状態だからいいですよ。返すのはいつでもいいです」と
「じゃあ連絡先をお伝えします」
「いいですよ」と、自転車を用意しはじめ、鍵をはずし私の前に出してくれました。
「本当にありがとうございます。・・・これ名刺なので置いておきます」と名刺を渡して、何度もお礼をいってから、自転車を走らせ、環七から246に入り、渋滞中のバスを何台も追い抜きながら22時半に二子玉川に到着することができました。
それから二子玉川のオフィスで車に乗り換え、息子の待つ横浜青葉区の学校まで車を飛ばし、すでにホールの座席で他の生徒達と寝ていた息子を起してもらい、12時過ぎ無事帰宅する事ができました。
帰宅して、棚からものは落ちていましたが、大きな被害もなく、あとから聞いた同じマンション住民からの情報では、22時くらいまで停電と水道もとまっていたそうですが、私たちが帰宅した時間には復旧していて、何事もなく普段の生活ができました。
本当に大変な1日でしたが、スタッフたちもそれぞれ長時間歩きながらも、無事友だちなどの家に到着できたようで(うち1名は、幸運にもグアム旅行で日本不在!)ほっとしています。
仙台出身のスタッフも、家族と連絡がとれ、実家のすぐ近くまで津波の水は来てライフラインは止まったままでありながらも、家の周囲を含め大きな被害は見受けられないとのことでした。
ただ300人の死者が発見された若葉区の荒浜は同じ区だそうで、連絡がとれていないお友達もいるようで、心配は続いているようです。
皆さんの無事を祈るばかりです。
本当に大変な1日でした。
その中でも、自転車やさんには、本当に温かな対応をしていただき、本当にありがたく思っています。
頂いたチラシにあったお店の情報をここでご紹介します。
野沢こうき自転車店
世田谷区野沢4-4-9 龍雲寺交差点そば
TEL 03-3424-1515