2010年08月29日

トリック・アートの世界展

写真.JPG夏休みの最後、息子と一緒に、損保ジャパン東郷青児美術館で行われている「トリックアートの世界展」に行って来ました。

夏休みの子ども向けの企画展だったのでしょうけれど、この企画展で展示されている作品は、私の筑波大学大学院の恩師、河口龍夫先生の作品をはじめとして、私が多摩美、筑波の大学院時代に強く影響を受けた作品ばかりで、現代美術の世界に夢をはせ一生懸命美術の勉強をしていた頃の自分に出会う、刺激的な時間にもなりました。

河口龍夫先生の作品は、1968年に制作された「無限空間におけるオブジェとイメージの相関関係又は8色の球体」が展示されていました。
龍夫先生の70年以前の作品は、なかなか目にする事がなく、教え子である私自身も、今回はじめて目にするものでした。
龍夫先生のサイトを探しても、この作品は見つからなかったので、ここでご紹介できずに残念ですが、アクリルで作られた立方体の中にいくつもの球が何個も浮かんでいるように見える作品ですが、実は、半分に割った8個の色違いの球が鏡(マジックミラー)に貼付けられていて、球が浮いて見えるトリックなのです。
半透明のマジックミラーの片側(明るい方)からは向こう側が見えず手前のものが反射して鏡のように見え、暗い方からは向こうの明るい世界が見えるという面白さは、私も大学4年生の時に着目して、それをテーマに「隠れた次元」という作品を制作しました。
私がこの作品を考案した時は、龍夫先生のこの作品は知りませんでしたが、私が考える30年も前に龍夫先生が着目し試みていた作品と思うと、現代アートの流れを勉強していれば必然的に試みる流れなのかもしれませんが、それでも何か不思議な縁を感じるものでした。

それから私が大学3年生の時に、渋谷の松濤美術館で多田美波さんの作品に出会い衝撃を受け、その素材の持つシャープさと洗練された作風に大きな影響を受けましたが、その多田美波さんの作品「機<ki>」にも、この展覧会で出会うことができました。

その他、大学時代から私が憧れていた、の宮脇愛子さん(建築家・磯崎新の奥さん)の作品や、ヴァザルリ、高松次郎など、私の作品を形成するにあたり大きな影響を与えた作家の作品が多く展示されていました。
あとは、日本のグラフィックデザイナーの歴史に名を残す福田繁雄さんのお嬢さんの、福田美蘭さんの作品も興味深かいものでした。福田繁雄さんは、多摩美の1年生の時に、芸術祭の冊子のインタビュー記事に掲載するために、福田繁雄さんの事務所に取材に行った記憶が蘇ります。

今回の作品群は、現代美術のアーティストとして夢見て、一生懸命勉強していた頃の自分に出会える展覧会でもありました。

そうそう、損保ジャパン東郷青児美術館といえば、統合する前の安田火災海上が1987年に58億円で購入したゴッホのひまわりですが、こちらもしっかり見て来ました。
ゴッホのひまわりシリーズは、多摩美在学中に、ヨーロッパの美術周遊旅行の中でミュンヘンのノイエ・ピナコテークや、ロンドンのナショナルギャラリーで目にしていますが、日本で厳重な警備のもと目にする絵画は、58億という高額な芸術作品ということばかりに気がいってしまうのは、不思議なものです。

写真.JPG
損保ジャパンビルを見上げて


posted by Sachiyo Inami at 22:17| Comment(0) | TrackBack(0) | アート&デザインレポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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