わかおさんのお友達で、教育・認知心理学を専門とする大学准教授の方と、同じく大学講師でメディア研究を教えている方を含めた4人で、心理学をアートでコンパイルする、さらにアートで心理学をコンパイルする、といった試みをしようというものです。
そのミーティング第一回が、満月の夜、二子玉川の多摩川河川敷にあるGekkoというとても魅力的なお店で行われました。

まずはじめに感動のあまり驚いたのが、セルフグリルパラダイス Gekko というお店が楽しい事!
今回のミーティングのメンバーが教える研究室の学生さん(社会人枠)がオーナーをしているお店だそうですが、そのオーナーさんの雰囲気はなんとも味があってとっても魅力的。
お店に一歩足を踏み入れると、アメ横のように、魚やエビ、貝類が一面に並んでいて、そこで好きなものを皿に取り、グリルのある自分の席にもっていって、そこで自分で焼いて食べるのです。
自分の好きな魚介類を選ぶのも楽しいし、それを自分で焼くのも楽しい。
その研究室の学生さんたちがペインティングしたとい店の内装もとっても素敵。
まずは、その店との出会いでワクワクした気持ちになりました。
で、、、、
ミーティング本題はというと、私にとってほとんどが初対面であり、まずはそれぞれの紹介と、どんな活動をしているのかからスタートし、さらにアートって何?、、といった話しにも及びました。
これまでアーティスト仲間はたくさん出会ってきましたが、心理学を専門とする方達とアートについてお話をするのは初めて。
まったく違った分野であると思っていたけれど、彼らが自分の研究室で学生とともに取り組んで来た、人の行動を認知する調査というのが、まさにそのものがアートになりうるようなとても面白い試みをしていることに驚きました。
美術史からみた現代アートは、マルセル・デュシャンの便器をそのままおいた作品「泉」に見られるように、コンセプトそのものがアートであるという価値観が生まれ、新しい考え、驚きがアートとしての価値を持つという流れが生まれました。
コンセプト自体がアートになるという観点では、彼らの研究室で行っているリサーチ自体が、見せ方の工夫次第で十分にアートになりうるものであると感じました。
私自身はというと、コンセプチュアル・アートや、奇異さで鑑賞者の心に訴えるようなタイプの現代アートは、私の表現したい本質に反するもので、古典的な方法かもしれないけれど、もっとストレートに人の心に感動を与えるタイプのアートを表現してきました。
ただ心理学ということでいうと、学術的な心理学の方向性とは違うかもしれないけれど、美大時代から私なりに関心をもってきました。
学生時代、自分の世界観を広げるため、自信の表現の裏付けをするため、心理学に興味をもち、ユングやフロイトの心理学などの本などを読んだこともあるし、アート表現する上で、鑑賞者への心理的影響を考えながら作品を組み立ててきました。
さらに商業デザインに携わる現在では、もっともっとターゲットユーザーの心にメッセージを届ける事に重点を置きながら、そのプロジェクトごとにデザインの答えを出して行く訳です。
あとは、今回の会話の中で浮かび上がって来た差異のひとつとして、彼らは、心理学という専門分野を研究しながら、それを高度で専門的な言葉で研究成果を人に伝えるのに対して、私の職業は、言葉を使わずにビジュアルで、特定のメッセージを伝える、、、ということが会話の中で浮かび上がって来た、それぞれの分野の対照的なところでもありました。
その一方で、心理学でもアートになりうるプロジェクトを行っていること、アートも常に心理学を考えているという相互の分野に関わっているところがわかり、とても面白い内容でした。
この1回目のミーティングは、まだ方向性がまとまるものではありませんでしたが、いろいろな種を植えることができた内容でした。
そこからまた会話を重ねて、次の形を見いだしたいと思っています。
さらに私にとって今回の内容は、広告デザインを考える上でもさらに考えを深めるきっかけともなりました。
私が講義をす広告制作演習の大学授業でも、その内容を講義していきたいと思います。